障害年金が決定された場合、その障害状態に変更がないか確認のための診断書が必要な場合があります。また、障害年金受給中に症状がよくならず、現在の障害等級より悪くなっているのでは?と感じることもあるでしょう。この場合、症状悪化により障害等級の変更を請求する、障害給付額改定請求が可能です。

目次

障害状態確認届

一度決定された障害年金は、その後状態に変化がないかを確認するために、
誕生月の3か月前に診断書(障害状態確認届)が送られてきます。

概ね年金決定されてから、1年、3年、5年という周期で送付されますので、
届いたら必ず医師に診断書を書いてもらうようにしてください。

この診断書の提出がないと、年金の支払いが一時差し止められます。
提出期限は誕生月の末日です。

提出した診断書により、障害状態の確認を行います。

・現状の等級で継続支給
・状態が悪化したとして増額改定
・状態が軽減したとして減額改定
・状態が軽減したとして障害年金不該当

障害状態の確認をする必要がなくなると永久固定として、
次回以降診断書の提出が不要となります。
障害年金を終身受給することができます。

障害給付額改定請求

年金受給者自身が障害の状態が悪化しているとして、
障害等級の変更を請求することができます。

障害給付額改定請求といいます。
改定請求時の診断書にて障害等級を変更すべきか診査がなされます。

①年金を受ける権利が発生した日から1年を経過した日
②障害の程度の診査を受けた日から1年を経過した日

通常は①②いずれかで1年経過していないといけません。
額改定請求可能であるか?年金事務所等で相談すると、
請求可能か教えてくれます。

額改定請求を1年待たずに請求できる場合がある

額改定請求をするのに、原則は1年経過する必要がありますが、
障害の状態によっては、1年を待たずして請求できます。

但し、必ずしも上位等級が認められるものではありません。
あくまで、請求が可能であるということです。

各部位ごとにみていきます。

障害の状態(眼)

・両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの
・一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの
・両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの
・一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの

・ゴールドマン型視野計による測定の結果、
両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下
かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの

・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下
かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの

・ゴールドマン視野計による測定の結果、
両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下
かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの

・ゴールドマン型視野計による測定の結果、
求心性視野狭窄又は輪状暗転があるものについて、
Ⅰ/2視標による両眼の視野がそれぞれ5度以内のもの

・自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下
かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの


※視力や視野の認定基準が変更され、
多様な症状に対応した障害認定が可能になりました。
障害年金決定時は、3級もしくは2級決定された場合、
この額改定請求により2級もしくは1級へ改定される可能性があります。

障害の状態(聴覚・言語機能)

・両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
・両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
・喉頭を全て摘出したもの

※両耳の聴力レベルが90デシベル以上で2級相当、
100デシベル以上で1級相当です。
喉頭全摘出で2級相当です。

障害の状態(肢体)

・両上肢の全ての指を欠くもの
・両下肢を足関節以上で欠くもの
・両上肢の親指および人差し指または中指を欠くもの
・一上肢の全ての指を欠くもの
・両下肢の全ての指を欠くもの
・一下肢を足関節以上で欠くもの
・四肢または手指もしくは足指が完全麻痺したもの
(脳血管障害または脊髄の器質的な障害によるものについては、当該状態が6月を超えて継続している場合に限る)完全麻痺の範囲が広がった場合も含む


※障害請求時から欠損や麻痺が増した場合には、次回診断書にて障害状態の確認
を待たずに、1年以内で額改定請求をして上位等級に変更されれば、
改定請求の翌月から年金額が変更されます。

障害の状態(内部)

・心臓を移植したものまたは人工心臓(補助人工心臓を含む)
を装着したもの
・心臓再同期医療機器(心不全を治療するための医療機器)
を装着したもの
・人工透析を行うもの(3月を超えて継続して行っている場合に限る)

※障害認定日の後に上記の状態となった場合は、額改定請求することに
より上位等級の可能性があります。

障害の状態(その他)

・6月を超えて継続して人工肛門を使用し、かつ、人工膀胱(ストーマの処置を行わないものに限る)を使用しているもの

・人工肛門を使用し、かつ、尿路の変更処置を行ったもの(人工肛門を使用した状態および尿路の変更を行った状態が6月を超えて継続している場合に限る)

・人工肛門を使用し、かつ、排尿の機能に障害を残す状態【留置カテーテルの使用または自己導尿(カテーテルを用いて自ら排尿すること)を常に必要とする状態】にあるもの(人工肛門を使用した状態および排尿の機能に障害を残す状態が6月を超えて継続している場合に限る)

・脳死状態(脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態)または遷延性植物状態(意識障害により昏睡した状態にあることをいい、当該状態が3月を超えて継続している場合に限る)となったもの

・人工呼吸器を装着したもの(1月を超えて常時装着している場合に限る)


※3級の障害年金受給中で、その後人工肛門、尿路変更、新膀胱造設が
複数ある場合は、額改定請求により上位等級に変更される可能性があります。

まとめ

障害状態確認届と年金給付額改定請求をみてきました。

定期的に障害の状態を確認するための「障害状態確認届」と
自分の意思で請求する「年金給付額改定請求」

年金給付額改定請求は、診査日から1年経過が原則ですが、
1年未経過でも請求できる例外があり、当てはまる場合は
請求を検討するのも一つの手段です。

ただ、すでに上位等級で決定されている場合もあります。
例えば、人工透析は障害年金では2級ですが、人工透析前でも
2級に決定されることがあります。

すでに2級で障害年金を受給していて、人工透析をすることになったとして
額改定請求をしても、すでに2級で受給しているため、この場合は上位等級に
なることはないでしょう。

人工透析前は3級で障害年金を受給している場合は、人工透析を契機に
額改定請求をして、3級から2級へ等級変更されます。
この場合は、額改定請求をして上位等級での年金受給を早めることができます。

ご自身の状況と障害の程度を考えて、うまく額改定請求を検討してください。