障害年金請求には大きく分けて3つの請求方法があります。障害認定日で請求する認定日請求、請求時の症状で請求する事後重症請求、複数の障害を合わせることにより2級相当になるとして請求する、はじめて2級。それぞれの請求方法についての違いや特徴と注意すべき点など、また症状によってどの請求方法が最適なのか事例を交えてみていきます。

目次

障害年金の請求パターン

障害年金請求書には、次のどれに該当するか〇で囲むようにと指示があります。

1.障害認定日による請求
2.事後重症による請求
3.初めて障害等級の1級または2級に該当したことによる請求

それぞれの請求方法について確認していきます。

障害認定日による請求

文字通り障害認定日で請求する方法です。

障害認定日についての詳細は、下部に過去記事(障害認定日とは?)
のリンクを参照してください。


障害認定日による請求は、障害認定日が到来していないと請求できませんので、
請求しようとする障害の障害認定日がいつであるかを確認する必要があります。

この障害認定日による請求は遡って請求することができます。

何らかの原因で、障害認定日は到来していたが請求出来なかった。
ということもあるでしょう。

・障害認定日の時は状態がひどくて手続きする余裕がなかった。
・役所へ相談に行ったけど難しくてやめてしまった。
・そもそも請求が可能であることを知らなかった。


遡って障害認定日で障害請求する場合の注意点があります。

①時効消滅がある
遡及請求は可能ですが、年金支払いは過去5年分の支払いで
それ以前の支払いは時効消滅となり支給されません。

例えば、障害認定日が10年前にある障害年金請求が認められた場合に、
過去5年分は遡及で支給され、残りの5年分は時効で消滅してしまう。

請求が遅くなると、本来支給されてたはずの年金がもらえない!
ということが発生してしまいます。

②障害認定日の診断書が取れない。
障害の状態を確認するためには、診断書を必ず書いてもらわねばなりません。
遡及請求の場合、障害認定日の診断書が取れない場合があります。
・カルテの保存期間を過ぎている。
・病院そのものが廃院している。

この場合は、診断書が取れない以上、障害認定日の時点で障害等級に
該当するのか認定ができませんので請求自体が難しいでしょう。
認定日当時は、非常に症状は悪かったと申立てしても、
確認できる診断書がなければ認められることはありません。

障害認定日に遡及して請求することは可能ですが、
①②のように、問題が発生する場合もあります。

障害認定日が到来しているのであれば、請求を待つ理由はありません。
請求準備をすすめましょう。

事後重症による請求

病気やケガによっては、障害認定日はそれほど悪くないということもあります。

障害認定日はそれほど悪くないけれど、その後、症状が悪くなっていった。
障害年金を請求する時点の状態を認定してほしい。

これが事後重症請求というものです。
障害年金請求時の状態を確認しますので、診断書も障害年金請求時のものが必要です。

注意点
①さかのぼり支給はなし
障害認定日の請求と違い、遡及して支給はありません。
今の状態の診断書を添付の上請求となります。
障害年金が認められた場合は、請求月の翌月分からとなります。

半年前から状態は悪かったので、半年前の状態が確認できる診断書があれば
よいか?
残念ながら、今の診断書が必要です。半年前の状態が確認できる診断書を
添付しても、診査はしてくれません。

事後重症請求の場合は、状態が悪いと考えたらすぐに請求準備をしてください。

②事後重症請求は65歳になる前まで‼
請求時の診査をする事後重症請求は65歳前に請求しなければなりません。
具体的に65歳というのは、誕生日の前日に65歳到達です。
9月15日誕生日の方の場合、
65歳到達:9月14日
事後重症請求可能日:9月13日
となります。

9月15日で65歳となる場合は、9月13日までが事後重症請求が可能です。
誕生日の前々日までです。

人工透析を始めたとか、ペースメーカーを装着した。
年齢をお聞きすると、65歳過ぎている場合があります。
この場合、事後重症請求では請求できません。

はじめて2級での請求

複数の障害があり、一つの障害では2級にならないけど
トータルで考えたら、2級に認定される。

そのような場合は、このはじめて2級での請求をいたします。

注意点
①さかのぼり支給はなし
事後重症請求と同じでさかのぼりの支給はされません。
請求の翌月分から支給となります。

②それぞれの障害が3級以下であること
はじめて2級の請求は、複数の障害がそれぞれ3級以下と
比較的症状が重くないものとされます。

複数の障害を合わせて、はじめて2級となる請求なので、
必ず障害が複数ある場合の請求となります。

1つの障害で2級となる場合は、このはじめて2級での請求はできません。
障害認定日もしくは事後重症での請求をします。

通常は、複数の障害年金請求をそれぞれで行い、
結果的にはじめて2級で認定された。
というパターンで落ち着きます。
最初からはじめて2級で請求するというのは特殊な事情かもしれません。

どの請求ですべき?

3つの請求方法をみてきました。

ではどの請求ですればよいのか?

基本は障害認定日での請求でしょう。
障害認定日の診断書が取れるのなら、請求が遅くなっても
さかのぼり支給があります。

障害認定日から1年以上経過している場合、
診断書は障害認定日の時と請求時と2枚必要です。
障害認定日で障害等級に該当しない場合は、
請求時にどうか診査されます。


但し、障害認定日時点ではそれほど重くない。
請求しても障害等級に該当しない。
このような場合は、事後重症請求を考えます。
診断書は請求時の状態を確認できる1枚でOKです。


事後重症請求は、請求時の状態を確認する診断書が必要です。
請求時より前の方が状態は悪いので、
過去の状態が悪い時とか、医師が一番悪いと診断した時の
診断書で請求したい!

このような相談もたまにありますが、事後重症請求では
あくまで請求時の状態での請求となりますので、
診断書も請求時の状態で障害等級の判断がなされます。

現在の診断書1枚で遡及が認められる場合がある!

人工関節や心臓ペースメーカー装着など、
障害年金請求ではその事実で等級が決まるものがあります。

人工関節、心臓ペースメーカーは3級相当です。
障害認定日のときにこれらを装着していたが、
障害年金の請求をしていなかった。

診断書は請求時の1枚しか添付できない。
このような場合でも、装着の事実が現在の診断書で
確認できるのであれば、装着の事実のみ3級で、
障害認定日に遡って認定されます。

障害認定日において、人工関節など装着していて
1年以上経過して障害年金請求をする場合は、
診断書が請求時の1枚しかない場合でも、事後重症請求では
なく障害認定日での請求をしてください。

事後重症請求だと請求の翌月分から支給。
障害認定日請求だと障害認定日に遡及して支給。

遡及支給で年金受給に大きな差が生じます。

但し、障害認定日以後に人工関節などを装着した場合は
この事例に当てはまりません。
 
    人工関節装着時=障害認定日

であることが必要です。

人工関節装着以外でも、このパターンに該当する事例として、
心臓ペースメーカー、人工肛門、人工透析、などがあります。

この場合はどうなの?というときはお問合せください。

まとめ

障害年金請求方法について、それぞれの違いをみてきました。

原則は障害認定日の請求ですが、障害認定日での請求が難しい場合
もあります。

障害認定日以後に状態が悪くなり請求する事後重症請求
複数の比較的軽い状態の障害を合わせて請求するはじめて2級請求

また診断書1枚で遡及請求が可能な事例があることもご紹介いたしました。

どの請求をするのか?自分のケースはどの請求をすべきなのか?

後でこんな請求の方法があったなんて知らなかった!
とならないように十分に相談してきちんと納得の上での
請求をしてください。