仕事、人間関係、将来の不安など、人は色々なストレスを抱えています。精神での障害年金というと”うつ病”での請求が多いですが、精神疾患の中の一例にすぎません。心因性によるもの以外にも病気やケガによる記憶障害や認知機能の衰えによる請求も多く、精神での障害請求も多種多様です。精神用の診断書での障害年金請求についてみていきます。

目次

精神用診断書での障害年金請求事例

精神で障害年金を請求するときの診断書です。

表面は病状(抑うつ状態、幻覚妄想状態、意識障害・てんかん、発達障害など)の記入欄です。

裏面は、その障害により日常生活がどれほど制限を強いられれているか?
日常生活や労働能力、予後などの記入欄です。

うつ病(気分・感情障害)、統合失調症など

うつ病

仕事や日常生活での人間関係、ストレスや失敗による
落ち込みで何もする気になれない、今まで興味があったことにも
関心を示さなくなる。落ち込みがひどくなると不眠や食欲不振も
重なりネガティブな思考から抜け出せなくなる。

精神の障害相談でうつ病は最も多い相談事例です。
うつ病といっても症状は千差万別です。

抑うつ状態がどのように日常生活で支障をきたしているか?
外出できない、人と話すのが怖い、不安でどうしようもないなど・・・
その状態が診断書に示されているか確認します。


統合失調症

妄想   監視され続けている、自分のことを悪く言っている
幻聴   誰もいないのに命令が聞こえてくる
意欲低下 何もする気になれず感情表現も乏しくなる
判断力の低下 やるべきことなどを判断することが難しくなる

妄想、幻覚、幻聴という症状により、不安や緊張状態が
続き、非常に不安定な状態に陥ります。


双極性感情障害

異常なまでのハイテンションな状態と
陰鬱で無気力なうつ状態が繰り返されます。
気分の落ち込みを自覚して、”うつ”かも?
と思い受診、治療をしていたが、
実は双極性感情障害であったという相談もありました。

そう状態の時は気分もよく調子がよいと感じでしまうの
か、双極性なのにうつ病の治療を受けていました。

うつ病と双極性感情障害は全く別の病気で、
治療方法、薬の処方も違うようです。
症状が改善されないことで、転院を契機に判明した。
ご本人は大変な思いをされたようです。

高次脳機能障害

脳血管疾患(脳出血、脳梗塞など)や交通事故(頭部外傷)
により、脳に大きな損傷を受け生じる障害です。

記憶障害 
何度も同じことを繰り返す
何をしていたか忘れる

感情障害
怒りっぽくなる
子供っぽくなる

遂行能力障害
順序良くこなすことができない
行動がバラバラ

注意障害
集中できない
落ち着かない

失語症
言葉を発することができない
言われたことに対して違う答えを返してしまう

高次脳機能障害は日常生活において様々な異常な行動がみられます。
今まで、普通にしていたことが出来ななくなったり、
おかしな行動にでたり、急に怒り出したり、
全く覚えていなかったりします。


発達障害

脳機能の情報伝達などがうまくいかず、
行動や気持ちのコントロールが難しく、
日常生活においても色々な困難が生じます。


自閉スペクトラム症

人との関わりが苦手、対人関係をうまく築くことができない。
こだわりが強く、臨機応変の対応が苦手だったり、
その気はなくても相手を怒らせる言動をしてしまう。
相手がどう思っているか?という気持ちを読み取ることができない。


注意欠如・多動症(ADHD)

集中力が続かず、すぐ気が散ってしまう。
整理整頓ができない。
忘れものが多く、約束も忘れてしまう。
ケアレスミスが多い。


学習障害

読字障害・・・文章を読むことが困難で、文章の意味を理解することも難しい。
書字障害・・・文字をバランスよく書けない。または書くこと自体が難しい。
算数障害・・・数字の大小が理解できない。計算の桁が揃わず計算自体難しい。

知的な能力に遅れがあるわけではないのに、ある特定のことに対して、
困難を生じる障害です。



知的障害

精神遅滞と診断された場合、知的障害で
障害年金を請求します。

障害年金は療養のため最初に受診した日を
初診日として請求いたしますが、
知的障害は、出生日を初診日として請求します。
障害年金請求で唯一、出生日=初診日となります。

初診日  :出生日
障害認定日:20歳到達日

知的障害での障害年金は20歳以降に請求が可能です。

てんかん

脳の神経細胞が異常に活動することによって、
発作(てんかん発作)を引き起こします。

障害年金では、発作の重症度や発生頻度によって、
社会的活動能力がどれほど失われているか、治療や病状の経過、
日常生活状況等にどのような影響があるかにより認定されます。

まとめ

精神用診断書で障害年金請求する傷病例をみてきました。

あくまで一例であり、他にも様々な病名での障害事例があります。

精神の障害年金請求では、転院を繰り返している場合も多く、
初診日と思っていた病院の前に、受診していた病院があるということも
よくあります。

発達障害では、社会人となってから、ミスが多い、何度も同じ注意をされる、
なぜか怒らせてしまうなど・・・が重なり、もしかしたら?
と思い受診してみたらそうだった。
ということで請求に至ったこともあります。

受診歴が長いと、障害年金請求が困難なケースもあり、
なんだか難しいので、相談に行ったけどそれっきり・・・
請求せずにその後何年も経過してしまったということも多いです。

病気のせいで、仕事ができない、日常生活でも困ったことが多い。
でも障害請求は難しいから、何も前に進んでいない。

困ったなぁと思ったらぜひご相談ください。