病気やケガで日常生活に支障をきたす場合、障害認定日において障害の程度の認定をおこないます。その障害認定日とはいつの状態を認定するのでしょうか?自分が症状が重いと思った時なのか?医師が判断された時なのか?障害年金請求を思いついたときなのか?症状の重さは様々です。障害年金請求における障害認定日についてみていきます。

目次

原則は初診日から1年6か月経過した日

障害年金請求での障害認定日は、初診日から1年6か月経過した日
これが原則です!

障害認定日の初診日から1年6か月とは、治療効果によっては症状が改善したり、
治ったりする場合があるため、その間は様子をみてくださいね。
といった期間です。

1年6か月経過しても症状が改善しないとか、
仕事や日常生活に支障をきたす状態の場合に障害年金請求をします。


そのため初診日を確認した後に、1年6か月経過しているかをみていきます。

すでに1年6か月経過をしている
⇒他の要件をクリアしていれば障害年金請求が可能です。

1年6か月経過していない
⇒1年6か月経過するまで、要件確認など請求準備をすすめましょう。


例1)

初診日が令和2年8月1日の場合の障害認定日は?

障害認定日:令和4年2月1日 となります。


例2)

初診日が令和2年8月30日の場合は?

障害認定日:令和4年2月28日 となります。


応当日がない場合は月末を障害認定日とします。

20歳前に初診日がある場合は?

20歳前に初診日がある場合の障害年金請求は、20歳前障害として
障害年金の請求をします。

初診日から数えて1年6か月を経過した日が、

20歳前場合⇒20歳に到達した日が障害認定日
20歳後の場合⇒原則通り1年6か月経過した日


例3)

初診日が令和2年4月10日で初診日時の年齢が15歳の場合

初診日から1年6か月経過した日は令和3年10月10日ですが、
この時点では20歳になっていないため、障害認定日になりません。
20歳に到達した日が障害認定日となります。

例4)

平成13年5月2日生まれの方で、初診日が令和2年8月1日の場合

初診日(19歳)から1年6か月経過した日は令和4年2月1日で、20歳超のため
障害認定日は原則通り、令和4年2月1日となります。







初診日から1年6か月経過する前に障害認定日⁉

病気やケガによっては、これ以上症状が改善することがない。
ということ(症状が固定した)があります。


症状固定日が初診日から1年6か月経過する前である時に、
症状固定日を障害認定日として障害年金請求が可能な場合があります。

ポイントは初診日から1年6か月経過する前であること!

初診日から1年6か月経過後に症状固定になった場合は、
通常の初診日から1年6か月経過した日が障害認定日となり、
症状固定日が障害認定日となりませんので注意してください。


その症状固定の例をみていきます。
繰り返しになりますが、以下の例は全て、
初診日から1年6か月経過前に症状固定日が到来して
障害年金請求が可能とするものです。

喉頭全摘出

初診日から1年6か月経過する前に喉頭全摘出手術を施したときは、
手術日を障害認定日として障害年金請求が可能です。

障害等級の目安は2級です。

人工透析

透析開始日から3か月を経過した日を障害認定日とします。

透析開始から3か月経過する前に、初診日から1年6か月を迎える
ときは、通常の初診日から1年6か月経過日を障害認定日とします。

障害等級の目安は2級です。

例5)

初診日:令和1年10月2日  透析開始日:令和2年5月10日 の場合

障害認定日は透析開始日から3か月経過した、令和2年8月10日です。


例6)

初診日:令和1年10月2日 透析開始日:令和3年3月3日 の場合

障害認定日は令和3年4月2日となります。

 初診日から1年6か月経過日(令和3年4月2日)
        <
 透析開始日から3か月経過日(令和3年6月3日)

※初診日から1年6か月経過で障害認定日の請求が可能です。透析開始日後、3か月経過を待つ必要がありません。

在宅酸素療法

常時(24時間)在宅酸素療法を施行の場合は、
在宅酸素療法を開始した日を障害認定日とします。

障害等級の目安は3級です。

肢体障害での症状固定例

人工関節、人工骨頭を挿入置換

人工関節や人工骨頭を挿入置換した場合は挿入置換日
での障害請求が可能です。

障害等級の目安は3級です。

人工関節等を複数挿入している場合や、
挿入置換しても、なお機能障害が残っている場合は
上位等級に認定されることもあります。

切断又は離断による障害

欠損による肢体障害は切断又は離断した日で
障害年金請求が可能です。

1肢の切断で障害等級の目安は2級です。

脳血管障害による機能障害

脳梗塞や脳出血などの脳血管障害による機能障害で、
初診日から6か月経過した日で医師が症状固定とした場合に、
障害年金請求が可能です。

~注意点~
医師が症状固定としても、障害年金請求時の診断書の内容によっては
症状固定と認められないこともあります。
(リハビリにより機能回復が期待できる場合など)

症状固定が認められない場合は、通常の1年6か月経過日を障害認定日
として障害年金請求をします。

循環器機能障害による症状固定例

心臓ペースメーカー、人工弁、植込み型除細動器(ICD)

心臓ペースメーカー
人工弁
植込み型除細動器(ICD)

装着日を障害認定日として障害年金請求が可能です。

障害等級の目安は3級です。


初診日から3日後にペースメーカー装着の場合、
障害認定日は初診日から3日後となり、
障害年金請求が可能です。


人工血管(ステントグラフトを含)

人工血管の挿入置換日を障害認定日として、
障害年金請求が可能です。

人工血管挿入置換で、診断書の一般状態区分が「イ」または「ウ」
の場合、障害等級の目安は3級です。

CRT(心臓再同期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器)

装着日を障害認定日として
障害年金請求が可能です。

診断書の内容によりますが、障害等級の目安は2級です。

心臓移植、人工心臓、補助人工心臓

重症心不全により、心臓移植や人工心臓を装着した場合は
移植日または装着日を障害認定日として、
障害年金請求が可能です。

障害等級の目安は1級です。
(術後の経過により症状が安定している場合は等級の見直しがあります。)

消化器機能障害による症状固定例

人工肛門または新膀胱造設、尿路変更術を施したもの

人工肛門の造設日や尿路変更術を施した日から
6か月経過した日を障害認定日とします。


例7)人工肛門造設例

初診日:令和2年8月2日 人工肛門造設日:令和2年8月20日

この場合の障害認定日は令和3年2月20日です。


人工肛門でも一時的な造設で、6か月以内に取り除いたときは
本来の初診日から1年6か月を障害認定日とします。


新膀胱造設は造設日を障害認定日とします。


障害等級の目安は3級です。

人工肛門・新膀胱・尿路変更が複数ある場合

人工肛門と尿路変更は当該手術日から6か月経過した日
新膀胱は当該手術日

複数の状態がある場合の障害認定日はどうなるか?

①人工肛門造設と尿路変更術
⇒いずれか遅い日から6か月経過した日を障害認定日とします。

②人工肛門造設と新膀胱造設
⇒人工肛門造設から6か月経過日と新膀胱造設日のいずれか遅い日

①②ともにいずれか遅い日が、
初診日から1年6か月を経過している場合は、通常の1年6か月経過日を障害認定日とします。

まとめ

障害認定日をみてきました。

原則は初診日から1年6か月経過した日が障害認定日です。

しかし、1年6か月を経過する前に障害年金請求ができる
症状固定の例もあります。
この場合は、初診日から1年6か月経過を待つ必要がなく、
障害年金請求が可能です。
該当する場合は、請求準備をすすめてください。

症状固定の場合は、障害認定日が症状固定の日もあれば、
症状固定日から3か月経過した日とか、
症状固定日から6か月経過した日など様々です。

障害認定日の間違いがないように注意してください。