障害年金請求では、初診日が最重要である理由と具体的にどのような日を指すのか?をみてきました。今回は、初診日についての最終回として、初診日を証明する書類についてみていきます。実際には、医療機関で受診の証明をもらいますが、必ずしも証明が取れるとは限りません。証明が取れる場合と取れない場合の対処方法についてご説明いたします。

目次

初診日の証明が取れる場合

初診日の証明が取れたら、とりあえず一安心です。
障害年金の請求はスムーズにすすんでいくでしょう。
実際の証明について注意点と確認するポイントをご説明します。

受診状況等証明書

障害年金を請求するときの初診日の証明は
この書式で医療機関に証明をもらいます。

確認するポイントは、

⑤発病から初診までの経過
 前医からの紹介状はありますか。⇒  有   無 (有の場合はコピーの添付をお願いします。)

ここで、前医からの紹介状が”有”の場合、証明書を書いてもらった
医療機関の前に、別のところで受診していたということです。
この場合、紹介元の医療機関で受診状況等証明書を取らなければなりません。

紹介状が”無”に〇印でも、”○○年前から▲◇病院にて受診歴あり 
のような記載があると、これも前医受診があるので、
▲◇病院での受診状況等証明書を取る必要があります。

このように、紹介状”有”や前医受診の記載を見落としてしまうと、
初診日が変わってしまい、ガッカリということになってしまいます。

自分では、覚えていないことも医師はカルテの通りに、
この証明書を作成するわけで、
ああそういえば、受診していた!なんてこともあります。

受診状況等証明書が取れたことに安心することなく、
内容を確認して前医受診がないかよく確認することが大切です。

受診状況等証明書が必要ない場合もある!

障害年金請求では、障害の状態を確認する診断書が必要です。

受診状況等証明書が必要ないというのは、
初診日の医療機関と診断書作成医療機関が同じ場合です。

上記の診断書で③欄 ①のため初めて医師の診療を受けた日と
⑧欄 診断書作成医療機関における初診日所見の初診年月日が同一の場合は
受診状況等証明書は必要ありません。
(③欄 ”診療録で確認”に〇されていること)
 
       ③の年月日=⑧の年月日

診断書にて初診日も確認することができるからです。

注意点として、病院1か所の受診だと思い、出来上がった診断書を見てみると、

       ③の年月日<⑧の年月日

ということがあります。
つまり、診断書を書いてもらった医療機関より前に
別の医療機関での受診があるということです。

初診日が診断書作成医療機関ではないので、
受診状況等証明書を③の日に受診した医療機関で
もらう必要があります。

ここで載せている診断書は、精神の障害用ですが、
どの部位の診断書でも、③欄 ①のため初めて医師の診療を受けた日と
⑧欄の診断書作成医療機関における初診時所見はありますので、
③欄と⑧欄が一致しているか、
受診した医療機関が一つという場合は必須の確認事項です。

先天性の知的障害(初診日の証明が不要)

先天性知的障害の初診日=出生日

出生日を初診日として障害年金請求が可能です。
知的障害の場合、障害年金請求で唯一初診日の証明書が必要ありません。

注意点として、診断書の傷病名が、”知的障害”となっていること。



広汎性発達障害、自閉症スペクトラム、ADHDなどの発達障害の場合は、
障害年金請求において、出生日を初診日とする取り扱いはされません。

原則通り、初めて医師の診療を受けた日が初診日です。

受診した病院が複数の場合⇒最初の病院で受診状況等証明書
受診した病院が1か所の場合⇒障害年金請求用の診断書

発達障害での障害年金請求の場合は初診日の確認をお忘れなく!

初診日の証明が取れない場合

受診状況等証明書が取れない!

・カルテの保存期間が過ぎていて証明できない。
・廃院している。

受診の証明として、受診状況等証明書に勝るものはありません。
しかし、上記のような理由でその証明が取れないということも多々あります。

受診の証明が取れない場合、障害年金請求は
あきらめないといけないのでしょうか?

あきらめる前に、何とか別の確認方法がないか探していきましょう。


まず、受診した証明にはならないけど参考とされるものはあります。
その時に受診していたであろうと思われる参考資料を集められるだけ集める!
以下にお示しする参考資料は、受診状況等証明書のように、
これがあれば初診日が認められるというものではありません。

あくまで参考資料ですので、参考となる全ての資料を提出して、
初診日として妥当かどうかの判断がなされます。

身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳

交付年月日、障害等級、傷病名等が確認できます。

手帳作成時に提出した診断書(写)があれば、初診日の記載があるため、
申出の初診日を裏付ける大きなポイントになるます。

手帳作成時には、提出の診断書の写しをとっておくといいですよ。
写しを取っていない場合は、診断書を提出した役所で診断書の写しが
もらえないか確認してみてください。

お薬手帳、診察時の領収書、診察券、手術同意書など

お薬手帳では、処方箋を発行した医療機関が確認できます。
受診の領収書では、受診日、医療機関名、診療科などが確認できます。
診察券は受診した医療機関の確認ができます。

但し、診察券は大きな病院での受診の場合、どの診療科に受診していたのか?
障害年金請求の傷病での受診か判断がつかないこともあります。

あくまで参考資料の一つとして考えなければなりません。

医療情報サマリー、診療情報提供書、健康診断の記録

受診していた時に、病状の経過や治療方針などが示されたサマリーを
もらっていれば、初診日の特定に役立つ情報が示されている場合があります。

また、病院が紹介受診の場合は紹介先の病院で紹介状(診療情報提供書)
の写しをもらうと初診日の確認ができることもあります。

健康診断を受けた日は、治療目的で医療機関を受診した日ではないので、
障害年金請求では初診日としないとされています。

しかし、受診状況等証明書がとれず、他の参考資料も少ない場合などは、
参考資料の一つとして提出するのもやむを得ないでしょう。


第三者証明

医療機関での受診の証明がもらえず、参考資料も少ない場合に
第三者からの証明にて当時受診していたことの申立てをします。

第三者証明の条件として

①3親等内親族を除く(親、兄弟、叔父、叔母などはダメ)
②できれば複数人の証明
③証明者が当時の状況を、直接見ていた又は聞いていた。


①身内は証明として採用されません。
 実際の請求例として、当時の学校の担任、職場の同僚、知人・友人
 からの証明での請求があります。
②複数人が当時の状況をそれぞれ具体的に証明してくれることにより
 より初診日の確度が高まります。
③最近聞いた・・・では、当時の状況を見て知っているわけではないので、
 採用される可能性はありません。証明者が当時見ていたこと、聞いたことを
 申し立てることで信憑性のある第三者証明になります。

20歳前障害での初診日証明

20歳前に初診日がある傷病での障害年金請求は
厚生年金や共済年金加入していない場合、
20歳前障害として国民年金制度へ障害請求をします。

この20歳前障害の初診日の証明についても、
初診日での受診状況等証明書が必要ですが、
独自の取り扱いがありますのでご説明いたします。

18歳6か月前の受診状況等証明書でOK

例として、初診日が10歳の時で以下の受診歴の場合、
A病院 (初診:10歳)
B病院 (転院:12歳)
C病院 (転院:15歳)
D病院 (転院:20歳)

障害年金請求のための初診日はA病院になります。
しかし、A病院での受診状況等証明書は取れませんでした。
次のB病院でも取得不可で、証明が取れたのはC病院(15歳時)でした。

20歳前障害の場合は、C病院の証明でA病院初診日としての請求が認められます。

???

どういうことかというと、
20歳前障害での障害年金請求は、20歳が障害認定日となるので
18歳6か月前に初診日があることを確認できれば、C病院の証明でも
20歳前障害での初診であることが確認できるのでOKということです。

国民年金は20歳から加入して、保険料納付が始まります。
20歳前は国民年金の加入はないので、保険料の納付要件も必要ありません。
ですので、納付要件を問わない20歳前の初診日なら、
A病院、B病院、C病院、
証明の取れるところで取って構わないということです。

※この取り扱いは、20歳前に厚生年金や共済年金の加入がない場合です。
 もちろん最初からA病院で証明が取れるのであれば問題ありません。

まとめ

障害年金請求での初診日の証明についてみてきました。

受診状況等証明書が取れた場合は問題ありませんが、
(前医の記載や紹介受診の場合を除いて・・・)
取れない場合にどうするか?

いろいろな受診の証明に代わる参考資料を例示いたしました。
今回例示した以外にも確認できる資料はあります。

とにかく、証明が取れない場合は参考になるであろう資料を
全て提出することで、初診日と認めてもらわなければなりません。

当時の状況を知っている第三者がいれば、証明が取れないときの
大きな味方になってくれます。


証明がとれないから障害年金請求をあきらめるしかない・・・
そう思った方がこのブログを見てくれて参考になれば幸いです。