障害年金を請求しようと考えたときに、最初に確認することは初診日がいつであるか?です。初診日において、①加入している制度へ年金請求、②保険料納付要件の確認、③障害認定日の確認。全て初診日がわからないと先にすすみません。では、障害年金請求での初診日とは?最初に受診した日でしょ!その通りですが、簡単にここが初診日であると言い切れない場合もあります。意外と厄介な初診日の確認についてみていきます。

目次

障害年金の初診日の考え方 (色々な受診歴がある)

障害年金での初診日とは、
病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日をいいます。(治療行為又は療養に関する指示があった日)
同一の病気やけがで転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日が初診日となります。

受診した病院が1か所の場合

A病院の受診のみ

病院がA病院1か所で、その他の病院で受診はしていない。という場合は、
A病院での最初の受診日が初診日で問題ないでしょう。

受診した病院が複数ある場合

A病院⇒B病院⇒C病院

3か所の病院での受診歴があり、現在もC病院受診中というケース。
一番古いA病院での最初の受診日が初診日となります。

整骨院、鍼灸院等にかかったことがある場合

整骨院⇒X病院

障害年金での初診日は、医師又は歯科医師の診療を受けた日なので、
この場合の初診日はX病院ということになります。

健康診断の要検査で受診した場合

健康診断⇒H病院

障害年金での初診日は、医師又は歯科医師の診療を受けた日なので、
この場合の初診日はH病院ということになります。

受診の中断がある場合

F病院⇒受診なし⇒K病院⇒L病院

F病院の後に、自己判断で受診をやめる。
その後、調子が悪くなりK病院を受診し、L病院へ転院。
受診の中断があるが、初診日はF病院となります。

障害年金の初診日の考え方 (相当因果関係)

・原因不明で転院を繰り返し、やっと病名が判明した。
・最初の病院と次の病院で診断された病名が相違している。
・ある病気で治療中に、別の病気が判明した。

障害年金請求で初診日を確認する上で、上記のようなケースはよくあります。

どこが初診日?という悩ましい例も多く障害年金請求を難しくしている
原因の一つです。

障害年金請求では、診断が確定された日を初診日とするのではなく、
その前の原因不明で病名の診断もされず転院を繰り返した・・・
この場合、原因不明だった最初の日が初診日となるでしょう。

相当因果関係があるという考え方です。

糖尿病と人工透析又は網膜症、神経障害

人工透析での障害年金の相談は非常に多いです。
透析が糖尿病からくる腎症によるものか確認する必要があります。

診断書を確認すると、既往歴に”糖尿病”と記載があると糖尿病の初診日を
確認しなければなりません。

網膜症や神経障害も糖尿病が原因とされた場合は、糖尿病として受診した
最初の日が初診日となります。

高次脳機能障害と脳血管疾患又は交通事故

高次脳機能障害は、失語、記憶障害や行動障害、注意障害など、
脳損傷に起因する障害です。

脳梗塞やクモ膜下出血などの脳血管障害や交通事故など、
高次脳機能障害の原因となる傷病の初診日を確認する必要があります。

うつ病と統合失調症

精神の疾病で受診の場合、当初診断された病名が、
受診の途中で変わることがあります。

うつ病と診断されていたが、病院を変えたら統合失調症と診断された。

統合失調症で障害年金請求を考えている場合、
前のうつ病の診断は関係ないので統合失調症での受診を
初診日として請求したいという相談を受けることがありますが、
障害年金請求で考えた時、初診日はうつ病で初めて受診した日と
なるでしょう。

精神疾病の場合、診断名が違っても因果関係があるものとして
扱われるケースがほとんどです。

癌:原発性or転移性?

癌で障害年金をする場合、原発性か転移性かによって、
初診日を考えます。

原発性
原発性で受診した最初の日を初診日と考えます。

転移性
原発性癌の受診のきっかけとなった最初の日を初診日と考えます。


転移性の場合、組織上一致すると相当因果関係ありとされ、
原発性での初診日を考えなければなりません。

初診日の落とし穴

初診日と考えていた日より前に受診があった!


障害年金請求をすすめていく過程で遭遇する、
初診日あるある!
いくつかご紹介いたします。

紹介受診

初診とされた病院で受診の証明を依頼すると、
前の病院からの紹介で受診していたことが判明!

大きい病院で治療を継続している場合、最初から
その病院で受診していた・・・というのは稀で
診療所や別の病院から紹介されて受診というケースが
ほとんどです。

現在の病院を受診した経緯を思い出し、別の病院で
の受診の有無を確認する必要があります。

前医あり

初診日の確認のため、受診の証明を取得することがあります。

その証明書に、”前医での受診あり”と記載されていると、
証明を取った病院の前に受診があるということで、
その前医の受診の経緯や前医での初診日を確認しなければなりません。

救急搬送

救急搬送された場合、搬送先が最初の病院と考えるのは
当然の成り行きです。
ということで、
救急搬送された病院で受診の証明を取ってみると・・・

搬送先は2つ目の病院で、
最初の搬送先は別の病院であることが判明!

このようなこともあります。
障害年金請求では、この場合の初診日は最初の搬送先となり、
最初の病院での証明を取る必要があります。

まとめ

初診日=初めて診療を受けた日

このように書くと簡単でありますが、いざ初診日の証明を取ってみると
思いもしなかった前医の記載、紹介受診が判明など新たな問題が発生します。

人により初診日の考え方も色々で、
診断が確定された日とか、
受診が途切れている場合は後の受診の最初の日とか、
証明書に記載があっても、この記載の受診はしていない!
と言われることも・・・

障害年金では、初診日の確認をするために医師の証明が必要です。
その証明に基づいて、請求先の保険者が申出の初診日が正しいのか
判断することになります。

初診日が変われば、保険料の納付要件や請求先(国民年金・厚生年金・
共済年金)、障害認定日が変わる場合があります。

それだけに障害年金請求において、
初診日は最初にきちんと押さえておかなければならない
重要な確認事項です。