糖尿病で障害年金がもらえないか?という相談がよくあります。糖尿病は受診歴も長く、初期の状態だと症状も軽くて大したことないと考え、受診をやめてしまっている場合もあり、初診日の確認が非常に難しい病気です。受診を中断後に症状が悪化したことで、障害年金の相談に来られる。糖尿病を原因とする合併症による障害年金請求をみていきます。

目次

糖尿病による腎機能障害

糖尿病が原因の人工透析です。
障害年金では、障害等級2級と判定されます。

実際の請求事例をみていきます。

受診の経緯から人工透析まで

(仮名:斉藤さん)
5年前に勤務先の健康診断で要検査を指摘された。
疲れやすさを自覚し、喉も渇きやすく常に水分をとっていた。

要検査により受診をしようとしたのが始まりで、
検査の結果、糖尿病と診断され、食事指導や運動をすすめられる。
その後、腎機能の低下を指摘され、いずれ人工透析が必要になると
告げられる。

半年後人工透析に至り、週3回実施中。


障害年金請求

障害年金請求で初診日を確認します。

斉藤さんは、健康診断で要検査を指摘され、
すぐに病院を受診しており、
初診日は、5年前に受診した病院で受診状況等証明書も
取得できました。

障害認定日の時は、障害等級に該当するほどではなく、
仕事を休むこともなかったため、事後重症請求となりました。

事後重症請求の障害年金2級で決定されました。

請求のポイント

健康診断で指摘され、すぐに病院を受診。
その病院で、人工透析まで受診しており、
初診日の証明が問題なく取得できたことで、
その後の請求までスムーズにできました。

請求から年金決定もスピーディーにすすみ、
斉藤さんにもとても喜んでいただけました。

糖尿病による神経障害

糖尿病から神経障害、壊疽、右足切断で
障害年金請求をした事例です。

受診の経緯から右足切断まで

(仮名:吉岡さん)
別の病気で受診中に、高血糖を指摘され糖尿病と診断される。
しかし別の病気の治療中でもあり、自覚症状もなかったので、
糖尿病での受診はなかった。

10年経過後、仕事の疲労が取れなくったことや、
倦怠感が続くようになった。
以前、糖尿病を指摘されたこともあり、
きちんと治療しようと受診する。
入院して食事指導などの治療に専念する。

退院後、仕事に復帰し日常生活を送っていたが、
徐々に、右足が膨れ上がり、変色してきた。
右下肢糖尿病性壊疽により、右足切断。
障害年金請求の相談に至る。

障害年金請求

初診日の確認するため受診状況等証明書を
最初の病院と思しきところで取得しましたが、
前医があることが判明する。

前医を糖尿病の初診日として障害年金請求をすすめる。
障害認定日では、症状はそれほど悪くなく、
診断書の取得も難しかったため、
事後重症請求での準備をする。

右足切断とその他の総合的判断により、
障害年金2級で決定された。

請求のポイント

吉岡さんは糖尿病と診断されていたが、
受診を中断しており、初診の病院を
見つけるのに苦労しました。

本人の話による、最初の病院で証明が取れましたが、
前医受診ありとの記載があり、
最初の病院でなかったことが判明し、
その前医の証明を取ることに・・・

時間はかかりましたが、何とか初診日を確認することができ、
無事請求までたどりつくことができました。

糖尿病網膜症

糖尿病が原因の網膜症です。
見にくいと思っていても、
それほど重症化しているという自覚がなく、
受診した時には、重度の状態であった......
最悪失明に至るケースもあります。

受診の経緯から失明まで

(仮名:山田さん)
仕事は営業で、車で得意先の訪問をしていた。
得意先の訪問、帰社後の事務作業と業務量も多く、
毎日が疲労困憊であった。

3年前から運転中の見にくさや、
書類などの文字が読みにくいという自覚症状が出始める。

一応眼科を受診する。
糖尿病が原因であるため、普段から
食生活に気を付けるようにと指導される。

糖尿病と言われても、今すぐどうとなることもなく、
仕事の疲れも原因の一つで、
そのうち改善されるだろうと軽く考えていた。

その後、眼の見えにくさは、悪化の一途をたどり、
さすがに不安になり、再度眼科を受診する。

診察の結果、糖尿病による網膜症が悪化して、
かなり重症化しているので、
大きな病院を紹介すると次の病院を紹介される。

次の病院では、右眼は失明状態、左眼もこのままでは
失明してしまうと診断、すぐに手術となる。
左眼は手術をしたが、視野が狭く非常に見にくい。

結果として、仕事を続けることが難しく退職
せざるを得なくなった。



障害年金請求

山田さんは3年前が、最初の受診日であり、
初診日から、1年6か月の障害認定日では
受診がなかったため、認定日請求は不可。

事後重症請求で請求の準備をする。
初診日の眼科の証明、現在の病院での診断書など
素早く作成してくれたことで、請求もスムーズに
することができた。

事後重症請求は、請求の翌月から年金発生のため、
医師の証明をすぐに書いてくれることが何よりで、
山田さんの場合は、その辺の事情にも恵まれ、
年金支給までも早かった。

請求のポイント

山田さんの場合は、初診日から請求までの期間が
3年ほどであり、医師の証明も問題なく取得できた
ので障害請求も問題なくすすめることができた。

もし、最初の受診が5年以上前であった場合は、
病院での受診の証明取得が困難になるケースが多く、
そうなると請求までの時間もかかり、
請求月の翌月分から年金が発生する事後重症請求は、
請求が遅くなればなるほど、遡及がないので
もっと早く請求できたのにというときは、
早く請求しておけばと悔やまれる。

まとめ

糖尿病の原因による障害年金事例でした。
・腎機能障害による人工透析
・神経障害による切断
・網膜症による失明

糖尿病の3つの事例ですが、
複数の状態(腎機能障害と網膜症など)
での請求事例も多いです。

糖尿病は請求時にはかなり重い状態であり、
そこから初診日を確認する作業は、
困難な場合もあります。

病院の証明が取れなくなることも想定して、
受診の証拠(医療費の領収書、診察券等)や
障害者手帳作成時の診断書などは、
ご自身の控えとしてコピーなど、
残しておくことをおすすめいたします。